11月17日はチェコの何の日?自由と民主主義のための闘いの日とビロード革命
結論
11月17日は、1939年にナチス・ドイツがチェコの大学を閉鎖して学生を弾圧した日と、その50年後の1989年に学生デモから共産党の政治を終わらせた「ビロード革命」が始まった日を記念する祝日です。国際学生の日でもあります。大きなお店も開いていて、旅行者は普段どおり買い物ができます。プラハのナーロドニー通りでは、無料のお祭り「コルゾ・ナーロドニー」が開かれます。
チェコのカレンダーで、11月17日は祝日です。正式な名前は「自由と民主主義のための闘いの日と国際学生の日」(Den boje za svobodu a demokracii a Mezinárodní den studentstva)。2026年は火曜日にあたります。
どんな日なのか、旅行者に関係あることは何かを、チェコに住んでいる私がまとめました。この記事は、祝日の1か月前の2026年10月17日に書いています。
11月17日は何の日?
1939年と1989年、50年をへだてた2つの「11月17日」を記念する日です。 どちらも主役は学生でした。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1939年10月28日 | ナチス・ドイツの占領下、チェコスロバキア独立記念日に学生たちがデモ。医学生ヤン・オプレタルが撃たれる |
| 1939年11月11日 | オプレタルが亡くなる |
| 1939年11月15日 | オプレタルの葬儀が、数千人の学生による反ナチスのデモになる |
| 1939年11月17日 | ナチスがチェコの大学をすべて閉鎖。学生と大学の職員9人を裁判なしで処刑し、1,200人以上の学生を強制収容所へ送る |
| 1989年11月17日 | 1939年から50年の追悼デモが、共産党の政治に反対するデモになる。ナーロドニー通りで機動隊が学生を襲う |
| 1989年11月下旬 | 抗議が国じゅうに広がる。プラハのレトナー公園には約100万人が集まる |
| 1989年12月29日 | 劇作家ヴァーツラフ・ハヴェルが大統領に選ばれる |
1939年の11月17日は、のちに「国際学生の日」になりました。日本ではあまり知られていませんが、世界で毎年11月17日に記念されている日です。
1989年11月17日に何があった?
1989年11月17日、プラハのアルベルトフ(大学の建物が集まる地区)に、約1万5千人の学生が集まりました。1939年のオプレタルたちを追悼するためのデモでした。
デモはヴィシェフラドで終わるはずでしたが、学生たちは町の中心に向かって進み、ナーロドニー通り(Národní třída)に入りました。そこで機動隊に前後をふさがれ、何時間も動けなくなったあと、殴られて多くのけが人が出ました。
この暴力がきっかけになって、抗議は学生から劇場や職場へ、プラハから国じゅうへ広がります。ヴァーツラフ広場には毎日人が集まり、ハヴェルたちが広場に面したビルのバルコニーから話しました。年末までに共産党の政治は終わり、ほとんど血が流れなかったことから「ビロード革命」と呼ばれています。
チェコとスロバキアが1つの国だった時代の話です。その後の2つの国の歩みは「チェコとスロバキアの違いは?」にまとめています。
いつから祝日?
11月17日は、2000年から国の祝日です(祝日に関する法律 245/2000 Sb.)。2019年の法改正で、名前に「国際学生の日」が加わりました。
お店は開いている?
11月17日は、大きなスーパーやショッピングモールも開いています。 チェコの祝日には大きなお店が閉まる日がありますが、11月17日はその対象ではありません。
ただし、役所や銀行の窓口、郵便局は基本的に休みです。祝日なので、トラムやバスは土日と同じ少なめのダイヤになる路線が多いです。ほかの祝日でお店が閉まる日は「チェコの祝日2026・2027」にまとめています。
プラハでは当日どこで何をしている?
ナーロドニー通りの「コルゾ・ナーロドニー」
いちばん大きいのは、ナーロドニー通りを歩行者天国にして開かれるお祭り「コルゾ・ナーロドニー」(Korzo Národní)です。入場は無料。国民劇場からユングマン広場までの通りに、コンサート、トーク、展示、子ども向けの催しが並びます。2025年は、携帯電話会社の推計で約10万2千人が来ました。
2026年の予定(2026年10月時点のプラハ市観光局の案内)です。
- 時間:10時〜20時(一部は22時まで)
- 13時:国歌
- 17時11分:パラーツ・メトロ(Palác Metro)のバルコニーから、恒例の「マルタへの祈り」(Modlitba pro Martu)。1989年に歌手マルタ・クビショヴァーが歌い、革命の歌になった曲です
- 今年のテーマ:ハヴェルの生誕90年など。プログラムは160以上
午前中は比較的すいていて、ゆっくり見て回れるそうです。夕方の「マルタへの祈り」の時間は、通りがいちばん混みます。
記念のプレートとろうそく
ナーロドニー通りのカンカ宮殿(Kaňkův dům)の壁、アーケードの中に、1989年11月17日を記念するプレートがあります。毎年この日には、たくさんの人が花を置き、ろうそくに火をつけます。当日でなくても見に行ける場所です。
アルベルトフとヴァーツラフ広場
1989年のデモが出発したアルベルトフでは、大学生の追悼の集まりが開かれます。ヴァーツラフ広場は、1989年に毎日人が集まった場所です。チェコ政府観光局は、アルベルトフからナーロドニー通り、ヴァーツラフ広場、レトナー公園と、革命ゆかりの場所を歩いて回るコースを紹介しています。
旅行者が気をつけること
- ナーロドニー通りは車両通行止め:例年、コルゾ・ナーロドニーの日は通りが通行止めになり、ふだん通るトラムも別の道を回ります。行き方はプラハ公共交通(DPP)の案内で確認してください
- 人がとても多い:夕方は通りがいっぱいになります。スリに気をつけ、小さい子ども連れなら午前中がおすすめです
- 静かに追悼している人もいる:お祭りの雰囲気ですが、プレートの前では静かに見ましょう
在住者のひとこと(2026年10月17日に書いています)
この記事は、11月17日の1か月前に書いています。コルゾ・ナーロドニーの時間やプログラムは、2026年10月時点で発表されている予定です。行く前に、公式の案内で最新の情報を確かめてください。
チェコに住んでいると、11月17日は「お店が開いている、ふつうの休み」という感覚になりがちです。でも、37年前に学生たちが通りに出たことで今のチェコがある、と思うと、ろうそくの並ぶナーロドニー通りの見え方も変わります。旅行の日が重なった人は、少しだけ寄り道してみてください。
参考にした資料
2026年10月17日時点で、次の資料で内容を確かめています。
- チェコ外務省「17. listopad – Den boje za svobodu a demokracii」(チェコ語)
- Sbírka zákonů「48/2019 Sb.(祝日に関する法律の改正)」(チェコ語)
- Radio Prague International「Places of the Velvet Revolution 1: Národní」(英語)
- チェコ政府観光局「Places of the Velvet Revolution in Prague」(英語)
- Kudy z nudy「Den boje za svobodu a demokracii: pražská místa spojená se 17. listopadem 1989」(チェコ語。チェコ政府観光局のサイト)
- プラハ市観光局「Korzo Národní」(英語。2026年のプログラム)
- ČTK「Na Národní třídě si události 17. listopadu připomnělo asi 102 000 lidí」(チェコ語。2025年の様子)
- プラハ1区「Korzo Národní 2025 – oslavy 17. listopadu 2025」(チェコ語。2025年の通行止めとプログラム)